SEC10-BP03 フォレンジック機能を備える:
セキュリティインシデントが発生する前に、セキュリティイベントの調査を支援するフォレンジック機能の整備を検討します。
このベストプラクティスを活用しない場合のリスクレベル: 中
AWS には、従来のオンプレミスフォレンジックの概念が適用されます。AWS クラウドでフォレンジック機能の構築を開始するための重要な情報については、「Forensic investigation environment strategies in the AWS クラウド
フォレンジックのための環境と AWS アカウント構造が整ったら、次の 4 つのフェーズにわたってフォレンジックに適した方法論を効果的に実行するために必要なテクノロジーを定義します。
-
収集: AWS CloudTrail、AWS Config、VPC フローログ、ホストレベルのログなどの関連 AWS ログを収集します。可能であれば、影響を受けた AWS リソースのスナップショット、バックアップ、メモリダンプを収集します。
-
調査: 関連する情報を抽出して評価することにより、収集されたデータを検証します。
-
分析: 収集したデータを分析してインシデントを解明し、そこから結論を導き出します。
-
レポート: 分析フェーズから得られた情報を報告します。
実装手順
フォレンジック環境を準備する
AWS Organizations
インシデント対応には、セキュリティ OU および フォレンジック OU を含むインシデント対応の機能をサポートする AWS アカウント構造があると便利です。セキュリティ OU 内には、次のアカウントが必要です。
-
ログアーカイブ: 限られたアクセス許可を持つログアーカイブ用の AWS アカウントにログを集約します。
-
セキュリティツール: セキュリティサービスをセキュリティツール用の AWS アカウントに一元化します。このアカウントは、セキュリティサービスの委任管理者として機能します。
フォレンジック OU 内では、お客様のビジネスモデルと運用モデルに最適なフォレンジックアカウントに応じて、フォレンジック用に 1 つのアカウントを実装するか、事業を展開するリージョンごとにアカウントを実装できます。リージョンごとにフォレンジックアカウントを作成すると、そのリージョン外での AWS リソースの作成をブロックし、リソースが意図しないリージョンにコピーされるリスクを低減できます。例えば、米国東部 (バージニア北部) リージョン (us-east-1
) および 米国西部 (オレゴン) (us-west-2
) のみで運用する場合、フォレンジック OU には 2 つのアカウントがあります。1 つは us-east-1
用で、もう 1 つは us-west-2
用です。
複数のリージョンのフォレンジック AWS アカウントを作成できます。そのアカウントに AWS リソースをコピーする場合は、データ主権に関する要件に準拠しているか注意する必要があります。新しいアカウントのプロビジョニングには時間がかかるため、インシデントのかなり前にフォレンジックアカウントを作成して実装し、対応担当者が効果的に対応できるように準備しておくことが重要です。
次の図は、リージョンごとのフォレンジックアカウントを持つフォレンジック OU を含むアカウント構造の例を示しています。
バックアップとスナップショットをキャプチャする
主要なシステムとデータベースのバックアップをセットアップすることは、セキュリティインシデントからの回復とフォレンジックのために重要です。バックアップを作成しておけば、システムを以前の安全な状態に復元できます。AWS では、さまざまなリソースのスナップショットを作成できます。スナップショットでは、こうしたリソースのポイントインタイムバックアップを作成できます。バックアップや復旧をサポートできる AWS のサービスは数多くあります。これらのサービス、バックアップと復旧のアプローチの詳細については、バックアップと復旧についての規範ガイダンスおよび「Use backups to recover from security incidents
特にランサムウェアのような状況では、バックアップをしっかりと保護することが重要です。バックアップの保護に関するガイダンスについては、「Top 10 security best practices for securing backups in AWS
フォレンジックを自動化する
セキュリティイベント中、インシデント対応チームは、イベント前後の期間の証拠を、正確性を維持しながら迅速に収集して分析できなければなりません (特定のイベントやリソースに関連するログのキャプチャ、Amazon EC2 インスタンスのメモリダンプの収集など)。インシデント対応チームにとって、関連する証拠を手作業で収集することは困難であり、時間もかかります。多数のインスタンスやアカウントが対象となる場合は特にそうです。さらに、手作業による収集では人為的ミスが起こりやすくなります。このような理由から、フォレンジックの自動化を可能な限り開発し、実装する必要があります。
AWS には、フォレンジック用の自動化リソースが多数用意されており、これらのリソースは以下のリソースセクションに一覧表示されています。これらのリソースは、当社が開発し、お客様が実装したフォレンジックパターンの例です。手始めに参考にするリファレンスアーキテクチャとしては有効かもしれませんが、環境、要件、ツール、フォレンジックプロセスに基に変更するか、新しいフォレンジック自動化パターンを作成することを検討してください。
リソース
関連ドキュメント:
関連動画:
関連する例: