Amazon Redshift との Aurora ゼロ ETL 統合でのデータフィルタリング - Amazon Aurora

Amazon Redshift との Aurora ゼロ ETL 統合でのデータフィルタリング

Aurora ゼロ ETL 統合はデータフィルタリングをサポートしているため、ソース Aurora DB クラスターからターゲット Amazon Redshift データウェアハウスにレプリケートされるデータを制御できます。データベース全体をレプリケートする代わりに、1 つ以上のフィルターを適用して、特定のテーブルを選択的に含めたり除外したりできます。これにより、関連するデータのみが転送されるようにすることで、ストレージとクエリのパフォーマンスを最適化できます。現在、フィルタリングはデータベースレベルとテーブルレベルに制限されています。列レベルと行レベルのフィルタリングはサポートされていません。

データフィルタリングは、次のような場合に便利です。

  • 2 つ以上の異なるソースクラスターの特定のテーブルを結合し、いずれのクラスターのデータ全体は必要ない場合。

  • データベース全体ではなく、テーブルのサブセットのみを使用して分析を行うことで、コストを節約する場合。

  • 電話番号、住所、クレジットカード情報などの機密情報を特定のテーブルから除外する場合。

ゼロ ETL 統合には、AWS Management Console、AWS Command Line Interface (AWS CLI)、または RDS API を使用して、データフィルターを追加できます。

統合でプロビジョンした Amazon Redshift クラスターをターゲットとして使用している場合、データフィルタリングを使用するには、クラスターがパッチ 180 以降である必要があります。

データフィルターの形式

1 つの統合に対して複数のフィルターを定義できます。各フィルターは、フィルター式のパターンのいずれかに一致する既存および今後利用するデータベーステーブルを含めるまたは除外します。Aurora ゼロ ETL 統合では、データフィルタリングに Maxwell フィルター構文を使用します。

各フィルターには以下の要素が含まれます。

要素 説明
フィルタータイプ

Include フィルタータイプは、フィルター式のパターンのいずれかに一致するすべてのテーブルを含めます。Exclude フィルタータイプは、いずれかのパターンに一致するすべてのテーブルを除外します。

フィルター式

コンマ区切りのパターンのリスト。式では Maxwell フィルター構文を使用する必要があります。

パターン

フィルターパターンの形式は database.table (Aurora MySQL の場合) または database.schema.table (Aurora PostgreSQL の場合) リテラル名を指定するか、正規表現を定義できます。

注記

Aurora MySQL の場合、正規表現はデータベース名とテーブル名の両方でサポートされています。Aurora PostgreSQL の場合、正規表現はスキーマ名とテーブル名でのみサポートされ、データベース名ではサポートされていません。

列レベルのフィルターや拒否リストを含めることはできません。

1 つの統合に含めることができるパターンの合計数は、最大 99 個です。コンソールでは、パターンを 1 つのフィルター式に含めることも、複数の式に分散することもできます。1 つのパターンの長さは 256 文字を超えることはできません。

重要

Aurora PostgreSQL ソース DB クラスターを選択する場合は、少なくとも 1 つのデータフィルターパターンを指定する必要があります。このパターンには、Amazon Redshift へのレプリケーション用のデータベース (database-name.*.*) が少なくとも 1 つ含まれている必要があります。

次の図は、コンソールでの Aurora MySQL データフィルターの構造を示しています。

ゼロ ETL 統合のデータフィルター
重要

フィルターパターンには、個人を特定する情報、または機密情報を含めないでください。

AWS CLI のデータフィルター

AWS CLI を使用してデータフィルターを追加する場合、構文はコンソールと少し異なります。1 つのフィルタータイプで複数のパターンをグループ化できないように、各パターンにフィルタータイプ (Include または Exclude) を個別に割り当てる必要があります。

例えば、コンソールでは、以下のカンマで区切られたパターンを 1 つの Include ステートメントにまとめることができます。

Aurora MySQL

mydb.mytable, mydb./table_\d+/

Aurora PostgreSQL

mydb.myschema.mytable, mydb.myschema./table_\d+/

ただし AWS CLI を使用する際は、データフィルターを次のように記述する必要があります。

Aurora MySQL

'include: mydb.mytable, include: mydb./table_\d+/'

Aurora PostgreSQL

'include: mydb.myschema.mytable, include: mydb.myschema./table_\d+/'

フィルター論理

統合でデータフィルターを指定しない場合、Aurorainclude:*.* をデフォルトのフィルターと見なし、すべてのテーブルをターゲットデータウェアハウスに複製します。ただし、少なくとも 1 つのフィルターを追加すると、デフォルトのロジックは exclude:*.* に切り替わり、デフォルトですべてのテーブルが除外されます。これにより、レプリケーションに含めるデータベースとテーブルを明示的に定義できます。

例えば、次のフィルターを定義する場合、

'include: db.table1, include: db.table2'

Aurora は、フィルターを次のように解釈します。

'exclude:*.*, include: db.table1, include: db.table2'

結果として、Auroradbという名前のデータベースから table1 および table2 のみをターゲットデータウェアハウスにレプリケートします。

フィルターの優先順位

Aurora は、指定された順番にデータフィルターを適用します。AWS Management Console では、フィルタ式を左から右、上から下へと処理します。2 番目のフィルターまたは最初のフィルターに続く個々のパターンは、それを上書きできます。

例えば、最初のフィルターが Include books.stephenking の場合、books データベースの stephenking テーブルのみが含まれます。ただし、2 つ目のフィルター、Exclude books.* を追加すると、最初のフィルターが上書きされます。これにより、books インデックスのテーブルが Amazon Redshift にレプリケートされるのを防ぎます。

1 つまたは複数のフィルターを指定すると、ロジックはデフォルトで exclude:*.* を前提として開始されます。そのため、すべてのテーブルが自動的にレプリケーションから除外されます。ベストプラクティスとして、最も広範なフィルターから最も具体的なフィルターを定義します。1 つ以上の Include ステートメントから始めてレプリケートするデータを指定し、Exclude フィルターを追加して特定のテーブルを選択的に削除します。

AWS CLI を使用して定義するフィルターにも同じ原則が適用されます。Aurora は、これらのフィルターパターンを指定された順番で適用するため、あるパターンによってその前に指定されたフィルターパターンが上書きされる場合があります。

Aurora MySQL の例

以下の例は、Aurora MySQL ゼロ ETL 統合でのデータフィルタリングの仕組みを示しています。

  • すべてのデータベースとすべてのテーブルを含める。

    'include: *.*'
  • books データベース内のすべてのテーブルを含める。

    'include: books.*'
  • mystery という名前のすべてのテーブルを除外します。

    'include: *.*, exclude: *.mystery'
  • books データベース内の 2 つの特定のテーブルを含める。

    'include: books.stephen_king, include: books.carolyn_keene'
  • サブストリング mystery を含んでいるものを除き、books データベース内のすべてのテーブルを含めます。

    'include: books.*, exclude: books./.*mystery.*/'
  • mystery で始まるものを除き、books データベース内のすべてのテーブルを含めます。

    'include: books.*, exclude: books./mystery.*/'
  • mystery で終わるものを除き、books データベース内のすべてのテーブルを含めます。

    'include: books.*, exclude: books./.*mystery/'
  • table_stephen_king という名前のテーブルを除き、table_ で始まる books データベース内の すべてのテーブルを含めます。例えば、table_moviestable_books はレプリケートされますが、table_stephen_king はレプリケートされません。

    'include: books./table_.*/, exclude: books.table_stephen_king'

Aurora PostgreSQL の例

以下の例は、Aurora PostgreSQL ゼロ ETL 統合でのデータフィルタリングの仕組みを示しています。

  • books データベース内のすべてのテーブルを含めます。

    'include: books.*.*'
  • books データベース内の mystery という名前のテーブルをすべて除外します。

    'include: books.*.*, exclude: books.*.mystery'
  • books データベース内の mystery スキーマの 1 つのテーブルを含め、employee データベース内の finance スキーマの 1 つのテーブルを含めます。

    'include: books.mystery.stephen_king, include: employee.finance.benefits'
  • サブストリング king を含むテーブルを除き、books データベースおよび science_fiction スキーマ内のすべてのテーブルを含めます。

    'include: books.science_fiction.*, exclude: books.*./.*king.*/
  • sci で始まるスキーマ名を持つテーブルを除き、books データベース内のすべてのテーブルを含めます。

    'include: books.*.*, exclude: books./sci.*/.*'
  • mystery スキーマ内の king で終わるテーブルを除き、books データベース内のすべてのテーブルを含めます。

    'include: books.*.*, exclude: books.mystery./.*king/'
  • table_stephen_king という名前のテーブルを除き、table_ で始まる books データベース内のすべてのテーブルを含めます。例えば、fiction スキーマの table_moviesmystery スキーマの table_books はレプリケートされますが、どちらのスキーマでも table_stephen_king はレプリケートされません。

    'include: books.*./table_.*/, exclude: books.*.table_stephen_king'

統合へのデータフィルターの追加

AWS Management Console、AWS CLI、または Amazon RDS API を使用してデータフィルタリングを設定できます。

重要

統合の作成後にフィルターを追加すると、Aurora はフィルターがもともと存在していたものであるかのようにフィルターを扱います。新しいフィルタリング条件に一致しないターゲット Amazon Redshift データウェアハウスのデータを削除し、影響を受けるすべてのテーブルを再同期します。

ゼロ ETL 統合にデータフィルターを追加するには
  1. AWS Management Console にサインインし、Amazon RDS コンソール https://console.aws.amazon.com/rds/ を開きます。

  2. ナビゲーションペインから、[ゼロ ETL 統合] を選択します。データフィルターを追加する統合を選択して [変更] を選択します。

  3. [ソース] で、1 つまたは複数の Include ステートメントと Exclude ステートメントを追加します。

    次の図は、MySQL 統合のデータフィルターの例を示しています。

    RDS コンソールでのゼロ ETL 統合のデータフィルター
  4. 変更が適切であることを確認したら、[続行] および [変更を保存] を選択します。

AWS CLI を使用してゼロ ETL 統合にデータフィルターを追加するには、modify-integration コマンドを呼び出します。統合 ID に加えて、Include および Exclude の Maxwell フィルターのカンマ区切りリストで --data-filter パラメーターを指定します。

次の例は、my-integration にフィルターパターンを追加します。

Linux、macOS、Unix の場合:

aws rds modify-integration \ --integration-identifier my-integration \ --data-filter 'include: foodb.*, exclude: foodb.tbl, exclude: foodb./table_\d+/'

Windows の場合:

aws rds modify-integration ^ --integration-identifier my-integration ^ --data-filter 'include: foodb.*, exclude: foodb.tbl, exclude: foodb./table_\d+/'

RDS API を使用してゼロ ETL 統合を変更するには、ModifyIntegration オペレーションを呼び出します。統合 ID を指定し、フィルターパターンのカンマ区切りリストを指定します。

統合からのデータフィルターの削除

統合からデータフィルターを削除すると、Aurora は削除したフィルターが存在しなかったかのようにそれ以外のフィルターを適用し始めます。次に、基準を満たした以前に除外されたデータをターゲット Amazon Redshift データウェアハウスにレプリケートします。これにより、影響を受けるすべてのテーブルの再同期がトリガーされます。