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ポイント 4. 組織を関与させる
「組織を関与させる」では、策定した戦略や計画を活性化し、すでに実施したさまざまな評価から得られた知見を活用することを目的としています。トランスフォーメーションが始まると、トランスフォーメーションの負担はクラウドトランスフォーメーションチームやクロスファンクショナルリーダーから従業員ベースに移り始めます。「組織を関与させる」には次の 5 つのサブポイントがあります。
4.1 変更管理計画の実施
説明
変更管理計画の実施には、変更戦略と計画で決められた活動を、体系的かつ詳細な方法で開始することが必要です。さらに、これらのアクティビティをチームのプロジェクト管理ツール内に文書化して、適切な時間、リソース、順序が統制のとれた方法で適用されるようにします。
有益である理由
変更管理計画の目的は、変更管理をクラウドトランスフォーメーションチームの活動と確実に連携させ、エグゼクティブスポンサーやリーダーからのコミットメントを確保し、影響を受ける利害関係者を特定して関与させるプロセスを開始することです。
活用場面
変更管理計画を実施する前に、すべてのタスクが考慮され、検証され、マスタープランに組み込まれていること、担当責任者 (responsible)、説明責任者 (accountable)、相談先 (consulted)、報告先 (informed) (RACI) マトリックスが完成していること、チームの組織構造が確立され、通知されていること、改革促進チームメンバーがそれぞれの役割について特定され、オンボーディングされ、適切に認証されていることを確認してください。プログラムをより広範なクラウドトランスフォーメーションと同期させ続けるには、使用しているプロジェクト管理またはアジャイルツールにタスクを統合するようにします。
注記
RACI マトリックスとは、プロジェクト内の役割と責任を定義して割り当てる表のことです。例えば、RACI を作成して、セキュリティコントロールの所有権を定義したり、トランスフォーメーションプロジェクト内の特定のタスクの役割と責任を特定したりできます。
4.2 コミュニケーションプランの展開
説明
このステップでは、コミュニケーション戦略と計画で特定されたアクティビティを開始する必要があります。目標は、コミュニケーションとメッセージが、クラウドトランスフォーメーションチームの活動、エグゼクティブスポンサーの声、指名されたリーダーや推進者のコミットメント、人事部や社内コミュニケーションチームとの協力関係と確実に一致するようにすることです。重要なメッセージ、多様な意見、複数のチャネル、フィードバックループを通じて、利益とビジネス価値に重点を置き、ステークホルダー全体の関与を維持できます。
有益である理由
結果的に、コミュニケーションとメッセージがクラウドトランスフォーメーションチームの活動と確実に一致するようになります。クラウドトランスフォーメーションが加速、拡大、進化し、組織の入れ替わりが避けられない中、コミュニケーションの価値を過小評価することはできません。実際、一貫性がなかったり、時代遅れであったり、ターゲットを絞っていなかったりするコミュニケーションは、タイムラインの遅延、不信感、関係の悪化を招く可能性があります。組織によっては、トリクルダウンや段階的なコミュニケーション計画が必要な場合もあります。情報を階層的に、順番に伝える必要があるため、複雑になり、プロジェクト管理タスクも増えます。
活用場面
コミュニケーションプランは、少なくとも毎週追跡および更新される生きた文書でなければなりません。さらに、適切なレベルの品質保証、精査、正確性がすべてのコミュニケーションの一部となるように、コミュニケーションに必要な承認も追跡して文書化する必要があります。フィードバックメカニズムを使用して、エンゲージメント、メッセージの有効性、長さ、頻度、対象者について評価します。コミュニケーションの有効性に関するフィードバックは、他のクラウドトランスフォーメーションプログラムのレポートと合わせて毎月追跡できます。
4.3 エンゲージメントプランの展開
説明
前述したように、エンゲージメントプランは、個人、利害関係者グループ、組織がクラウドトランスフォーメーションによってもたらされる変化に対処する具体的な方法を説明する体系的なアプローチです。エンゲージメントプランの目的は、クラウドトランスフォーメーションから得られる望ましいビジネス上の成果に重要な利害関係者すべてがコミットし、それに集中できるようにすることです。エンゲージメント戦略で概説されているように、コミットメントモデルの優先順位とマッピングに従って関連情報を提供することで、各利害関係者グループを参加させ、関与させる必要があります。
有益である理由
エンゲージメントプランを展開するには、各利害関係者グループが変化のペースと量を積極的に管理して、変化の負担をかけすぎないようにする必要があります。そうすることで、現在の状態から将来の状態への移行が成功する可能性が最大化されます。エンゲージメントプランを系統的に展開することで、改革促進チームがあらゆる潜在的な障害を積極的に管理し、組織の賛同、コミットメント、変化に対する能力を構築するのにも役立ちます。
活用場面
エンゲージメントプランは、クラウドトランスフォーメーションプロジェクトのライフサイクル全体を通じて使用する必要があります。大規模な移行やモダナイゼーションなどの移行段階で使用したり、監視や報告のメカニズムとして定期的に使用したりして、利害関係者エンゲージメントプログラムを設定したり、組織の認識、理解、賛同やコミットメントを高めたりする必要があります。
4.4 トレーニングプランの展開
説明
前述したように、トレーニングプランとは、実施すべきトレーニングと、トレーニングを開発および実施するプロセスを明確にした文書のことです。トレーニングプランを展開するときは、組織の活動と一致するトレーニングの実施を検討してください。従業員の慣れたワークフローを妨げない有意義なトレーニングを行うと、抵抗が減り、従業員が変化に迅速に対応できるようになります。さらに、データ主導型のアプローチを使用して、AWS Learning Needs Analysis
有益である理由
トレーニングプランを展開することは、クラウドでの運用に必要なトランスフォーメーションスキルを構築する上で有益です。さらに、適切な対象者を決定し、スケジュールとビジネス目標に合った方法でコースを系統的にスケジュールすることで、トレーニング予算を最大限に活用し、トレーニングイベントへの参加人数を確実に最大にします。
活用場面
プログラム全体を通してトレーニングプランを参考にして、組織のトレーニングニーズ、構築する必要のあるスキル、四半期または月単位で提供するトレーニング、トレーニングツールの掲載先、トレーニングの宣伝方法、トレーニングの完了状況を測定および監視する方法を決定します。毎年、必要な新しいスキルと組織内の新しい人材に基づいて新しいトレーニングニーズを決定し、年間のトレーニング予算に合わせて新しいトレーニング計画を立てます。
4.5 リスク軽減の監視と管理
説明
前述したように、リスク軽減戦略と計画は、組織が潜在的なリスクにさらされることによる影響をタイミングよく排除、軽減、または制御するように設計されています。リスク軽減の監視と管理とは、大きな変化には潜在的なリスクや障害が数多く伴うことを認識した先を見越した対策のことです。リスクの解決には、エグゼクティブスポンサー、リーダー、推進者とのコミットメントと緊密な連携が必要です。
有益である理由
各リスクには、関連する確率と重大度という要素があります。リスクを監視することで、チームはクラウドトランスフォーメーションを妨げたり脱線させたりする可能性のある問題の数、それらが発生する可能性 (確率)、結果がどれほど壊滅的になり得るか (重大度) をより正確に把握できます。リスクを積極的に検討し、監視する計画を立てることで、問題になる前にリスクを管理し、軽減することができます。
活用場面
プログラムの開始時にリスク軽減戦略と計画を立て、フォーマットを設計し、リスクの大きさを確認します。リスク軽減戦略と計画を定期的に見直し、必要に応じて更新します。計画を監視および管理し、結果をリーダーに報告して、追加の軽減措置を実施すべきかどうかを判断します。
